家を片付けていたら漢字が書かれた掛け軸が出てきた、そんなとき是非読むのに挑戦してほしいと思います。楽しいから!
まず、確認するのは漢字の数。漢字が5つくらいしか書かれていなかったりしませんか? お茶を習っている人がいてその人が手に入れたものなら禅語である可能性が高いです。茶道のハンドブックのようなもので禅語を探してみてください。下記のような詳しい辞典もあります。
有馬賴底監修『茶席の禅語大辞典 』、淡交社2002/01
項目数、4500余語の禅語を収録!茶席で拝見する「一行物」(掛物)の語意・禅旨を、約800点の墨蹟写真とともにやさしく解説。……(淡交社サイトより)
というわけで、4500余も収録されているのですから、まず見つかるのではないでしょうか。
こちらは同じ淡交社から2016年に出版された『充実 茶掛の禅語辞典』、収録項目数はさらに多い5300余項目。
気軽に手に入れて学びたいというのであれば、講談社学術文庫のものがコスパがよさそうです。
漢字の数が多いときは、いくつあるか数えてください。28字なら七言絶句、20字なら五言絶句の可能性が高いです。
ネットを使ってくずし字を読むのなら、奈良文化財研究所の『木簡画像データベース・木簡字典』と東京大学史料編纂所の『電子くずし字字典データベース』の連携検索がよく使われています。2021年7月をもって閉鎖されました。現在は史的文字データベース連携検索システムになっています。
文字画像(一文字分)から似た形の文字画像が解析できる木簡・くずし字解読システムもあります。
くずし字を解読する辞典はたくさん出ていますが、ここでは『五體字類』を紹介しておきましょう。
大正5年『袖珍 五體字類』に始まる『五體字類』は書体の辞典のベストセラー。これを使って書いたのなら、これを見れば読めるというわけです。
改訂版が現在でも刊行されており、書道などに親しんでいる人や、日常的にくずし字を書く人は手に入れて損はないと思います(私も愛用しています!)。
高田忠周・後藤朝太郎校『五體字類』法書会編 大正5年初版については、著作権が切れていますのでネットで全文公開されています。
漢詩の軸の場合は、各種くずし字辞典の中でも古文書を読むためのものではなく書道向きのものが役立つでしょう。
なかなか読めない字がある場合、韻と平仄の知識があれば文字の候補を絞れます。韻と平仄に関しても「韻と平仄を検索するページです」「漢詩のための押韻平仄チェックツール」のように便利なサイトがあります。
日本人の漢詩の場合、梁川星巌や藤井竹外など著名な詩人はそれぞれ十八番の漢詩がありますので、詩吟の教本などで使われていないか見ると早く見つかると思います。
また、ネットで検索してもすぐには出てこない、さほど有名でなさそうというときは、地元でかつては有名だった漢詩人の可能性があります。そういった漢詩人は自治体のサイト等で紹介されていることが多いです。図書館や資料館、地元の大学、教育委員会などに問い合わせるのもいいでしょう。その詩人の代表作がすぐにはわからない場合、詩集から探して下さい。
中国の漢詩の場合、蘇州の寒山寺のお土産の定番に張継の「楓橋夜泊」の拓本があって、これは大量に出回っています。まずは「月落烏啼霜満天」で始まっていないか見て下さい。