2019-01-01から1年間の記事一覧

六人部是香「向日山を称賛せる歌」

富永屋から六人部是香の長歌が記された額が出てきたというので、翻字して本日11月28日説明会を行った。 六人部是香扁額 【翻字】 称讃於向日山歌並短謌」美濃守六人部宿禰是香」 朝附日むかひの山は」 日のたての春野のとけみ」をちこちに雉子妻よひ」 日の…

地車を詠んだ漢詩

(浪華百景 天満天神地車宮入) 大坂の祭りといえば、地車(異論はあるかも知れないが)、地車を詠んだ漢詩といえば、『摂津名所図会大成』巻之十三上に「夏祭車楽」と題する七言絶句二首がある。 1首目の後藤春草は後藤松陰、美濃の人だが大阪で塾を開いて…

「漢文」は「国語」ですが?

「漢文」なんか要らないという、こういう商売してると馴染みの話題がまたTwitterのタイムラインに流れてきた。今回は漢文クラスタの間だけではなく広い範囲でバズったようだ。たぶん、発言主が有名人であるのと、古典不要論が話題になっていることに関連させ…

きらめく感性――夭折した天才少年田中金峰の目に映った大坂

大坂の漢詩を語る上で外せないのが『大阪繁昌詩』である。肥田皓三先生による『日本古典文学大辞典』の項を引用しよう。 大阪繁昌詩 三巻三冊。漢詩。田中金峰作。文久三年頃刊。大阪の名所旧蹟・四季行事・物産名物を詠じた漢詩一三〇首を収める。一首ごとに…

富永屋がなくなる

自分の無力をひしひしと感じている。 向日市に現存する江戸時代の旅籠、富永屋が解体されるのを知ったのは4月のこと、ネットでいくつかの記事に上がっていた。紙の方も見た。信じられなかった。 私は以前、向日市を含む乙訓地域の漢詩を取り上げて4本の論文…

富永屋の扁額が示すもの──乙訓漢詩壇と朝鮮開化派──

川崎鉄片『鉄片遺稿』(架蔵本) 明治の漢文学史に於いて、これまで知られていなかったが、乙訓地域には共研吟社という宇田栗園が主宰した漢詩結社があり、一地方とは思えぬ賑わいを見せていた。川崎鉄片はこの乙訓漢詩壇の優れた詩人の1人である。 鉄片こと…

漢字が書かれた掛け軸を読みたい!

家を片付けていたら漢字が書かれた掛け軸が出てきた、そんなとき是非読むのに挑戦してほしいと思います。楽しいから! まず、確認するのは漢字の数。漢字が5つくらいしか書かれていなかったりしませんか? お茶を習っている人がいてその人が手に入れたものな…

大坂の桃源郷ーー生駒山人の描いた日下村

陶淵明の「桃花源記」に描かれた桃源郷は俗世を離れた理想社会です。その昔、武陵の漁師が迷い込んだ桃林の果てに、その村があったといいます。 晋の太元中、武陵の人、魚を捕らふるを業と為す。渓に縁うて行き、路の遠近を忘る。忽(たちま)ち桃花の林に逢ふ…

大坂の漢詩を読んでいます

今年度の懐徳堂古典講座で「大坂の漢詩を読む」(江戸時代の作品を読むので「大坂」にしています)という講座を担当しています。全8回、主に近世後期の漢詩を取り上げる予定です。4月の初回は大阪の漢詩を読む意義についてお話し(伝わったかなあ)、生駒…

引っ越しました

はてなダイアリーに「固窮庵日乗」と題していろいろ書いていたんですが、こちらに引っ越しました。といいますか、正確にははてなダイアリーのサービスが終了して更新できなくなったのでした。 日乗というほどマメに更新しないのでタイトルも変えました。「固…